「おはよーさん。今日はお茄子のええのんあるえ。」
「ささげ、炊かはんにゃったらこーとかはる?」
「こないだのおうちのとうがらし、おじゃこと炊いたらほんまおいしかったわぁ。」
「ほな、今日は焼かはる?せやったら、ええのんあんねけど。」
「おばあちゃん、あの茄子炊いといてなぁ〜。行ってきまぁ〜す。」
「はいはい、気ーつけて。はよお帰り」
子どもの頃、京野菜の振売りの農家の奥さんとご近所さんの会話から私の「朝」が始まりました。
手塩にかけて育てた大切な京野菜・・・朝取りのみずみずしくぴかぴかでつやつやの・・・を自分の手で一つ一つ売り歩く。そして、本当に欲しいものを必要な数だけ大切に買う。作り手と買い手にあるのは京野菜だけでなくまごころという目に見えない宝物。ほんものというプライド。
ここ京都上賀茂は今でもそんな振売りの姿があります。
そしてその中に萬川の「原点」があるのかもしれません。
風情の残る上賀茂の旧家を改装して、常にお客さまの「なごみ」の空間でありたいと願い1990年に京・上賀茂 萬川は誕生しました。
「なごみ」とは、「和」。円・輪・融・柔・温・調・合・会・加・混・凪・大・環・平・懐・・・。
つまり、まるくまとまり、手をつなぎ、とけあい、やわらかくかどがなく・あたたかく、ひびきあい、まとまりあわさり、であい、くわわり、まざりあい、おだやかで、ゆったりとおおらかで、めぐり、たいらかで日本古来の・・・。
その全てが「なごみ」であり「和」。それは、萬川の永遠の想いです。
町中から離れたロケーション、昔ながらのたたずまい。けっして便利でも新しくもないあるがままのその中にお客様それぞれの「なごみ」を紡ぎだしたいと願っています。
飲めるお客様にも飲めないお客様にも、お料理をたっぷり楽しみたいお客様にも、コーヒー一杯だけのお客様にも、すべてのお客様の気分にyesで答えたい。萬川はお客様の「なごみ」の空間でありたいと願っています。 |